3月30日に公募要領が公開された「令和4年度第二次補正予算 事業再構築補助金(第10回)」(以下 、便宜上「事業再構築補助金」と称します)。いろいろと変更点が取り沙汰されておりますが、「何が変わったの?」「ウチは応募できるの?」というような素朴な疑問にお答えできるよう、事業再構築補助金の概要をちゃちゃっとまとめてみましょう。(内容の一部に筆者の独自見解を含みます。)
今回は、主要な3類型「新市場進出(新分野展開・業態転換)」「事業転換」「業種転換」と売上高の2要件「新事業売上高10%等」「売上高構成比」を見てみます。
これらの用語によって、「新事業はメインの事業になるのか、サブの事業になるのか」とか「既存事業から新事業への変化への度合いはどの程度か」を定義しています。
まずは、「業種」「事業」「業態」の違いを知る必要がありますね。階層として理解すればわかりやすいと思います。
「業種」は、日本標準産業分類の「大分類」に相当するという理解で良いと思います。ここでは「不動産業・物品賃貸業」を例として取り上げてみます。例えば、「ウィークリーマンション業」というのは、この業種の中で、「不動産賃貸業・管理業」という「事業」に該当します。
そして、「業態」としては「貸家業・貸間業」であり、さらに細分化すると「貸間業」であると言えます。「事業再構築指針の手引き(3.0版)」では、「新市場進出(新分野展開・業態転換)」の例として、ウィークリーマンション業者がレンタルオフィス業に進出するケースが挙げられています。この表を下から見て行くと、レンタルオフィス業は「貸事務所」のサービスですので、「業態」としては「不動産賃貸業」となり、従来の「貸家業・貸間業」とは異なる業態になります。
ウィークリーマンション業者(貸家業・貸間業)がレンタルオフィス業(不動産賃貸業)に進出する場合、3~5年の事業計画終了後にレンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%以上になる計画が策定できれば、「新市場進出」の要件の一つを満たすことになります。これを「新事業売上高10%等要件」と呼んでいます。ちなみに、あくまでも従来のウィークリーマンション業がメインのままであれば「新分野展開」であり、レンタルオフィス業がメインとなっていくようであれば「業態転換」(貸間業⇒不動産賃貸業)になると思われます。
なお、「新事業売上高10%等要件」の等は、「総付加価値の15%でも可」を意味しています。これは意外と大事な規定です。従来の事業で10億円の売上がある企業は、10%要件で考えると新事業の売上高が1億円規模でなければならないことになります。しかし、既存事業が売上高は多いものの利益率が低い場合、売上高が少なくても利益率が高い新事業を手掛けることで業績を改善できるケースもあると思います。そこに売上高10%要件を課されると苦しい。そんな場合の救済策だと思われます。新事業が単価の設定が低いサービス業の場合などに、特に重要性が高い規定ではないかと思います。
※付加価値=営業利益+人件費+原価償却費
「新市場進出」が理解出来たら、あとはそんなに難しくありません。「事業転換」は、主たる「業種」を変更することなく、主たる「事業」を変更することです。この例で言えば、「不動産業・物品賃貸業」の範囲内で「不動産賃貸業・管理業」とは違う事業に変更することですから、ウィークリーマンション業からレンタカー業(物品賃貸業)に商売替えするとかでしょう。「転換」とは別のものに変えることなので、事業の主役は既存事業から新事業に変わらなければなりません。これを「売上高構成比要件」と呼んでいます。より正確に言うと、3~5年の事業計画終了後に新たな製品の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定することです。
「業種転換」は、さらに上の階層(大分類)が別のものに変わるというレベルの転換です。例えば、ウィークリーマンション業(不動産業・物品賃貸業)から企業の宿泊研修所(宿泊・サービス業)になる場合等はこれに該当するのではないでしょうか。この場合にも、「売上高構成比要件」、3~5年の事業計画終了後に新たな製品の属する業種が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定することが必要です。
再構築の類型とその要件については、ここまでです。次回は、「枠」について整理してみます。(石川サトシ)
「ちゃちゃっと」って言ってるけど、文字数多くね!?
うううっ・・・、図星・・飛雄馬。