3月30日に公募要領が公開された「令和4年度第二次補正予算 事業再構築補助金(第10回)」(以下 、便宜上「事業再構築補助金」と称します)。いろいろと変更点が取り沙汰されておりますが、「何が変わったの?」「ウチは応募できるの?」というような素朴な疑問にお答えできるよう、事業再構築補助金の概要をちゃちゃっとまとめてみましょう。(内容の一部に筆者の独自見解を含みます。)
前回までのコラムで、事業再構築要件についてまとめてみました。
しかし、それだけでは申請には不充分で、申請のためにはどれかの「枠」に該当しなければなりません。「枠」は、大きくは「サプライチェーン強靭化枠」と「それ以外枠」に別れますが、「ちゃちゃっと」を志向する当コラムでは、「サプライチェーン強靭化枠」については割愛します。また、「それ以外枠」は、基本的にはこの表の5パターンですが、該当するケースが少なそうな「グリーン成長枠」「物価高騰対策・復活再生応援枠」も思い切って割愛します。「ちゃちゃっと」参りましょう!
さて、こうして絞り込んだ3枠については、「事業再構築要件」「再生支援機関要件」「付加価値額要件」が共通して求められます。「事業再構築要件」は、前回のコラムで取り上げた事業再構築の5類型のいずれかの定義に該当することです。「認定支援機関要件」は、事業計画について認定経営革新等支援機関の確認(補助金額が30百万円超の場合は金融機関の確認も)を受けていることです。「付加価値額要件」は、補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率平均4.0%以上増加、または従業員1人当たりの付加価値額が年率平均4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することとなっています。
※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
「通常枠」がなくなった今、最も申請数が多そうなのは「成長枠」ですが「成長枠」にはあと2つの要件が求められています。1つは、事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させるという「給与総額増加要件」です。もう1つは、取り組む事業が過去から今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していることが求められる「市場拡大要件」です。該当する業種・業態はリストで提示されていますが、それ以外でも要件を満たすことを証するデータを提出して認められればOKです。但し、データの期間はコロナの影響を除外するため原則として2019年までの10年間とされています。また、年毎に数値の増減があっても全体として上昇にトレンドにあると認められればOKとされています(例1参照)。
次の「産業構造転換枠」は、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援する枠とのことです。この枠には、基本の3要件(「事業再構築要件」「再生支援機関要件」「付加価値額要件」)に加えて、「市場縮小要件」が課せられています。現在の主たる事業が過去から今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、別の業種・業態に転換することが求められます。「市場拡大要件」と同様に、業種・業態リストが提示されていますが、要件を満たすデータを提出する方法も認められています(例2参照)。
最後は、「最低賃金枠」です。最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援する枠だそうです。「業況の厳しさ」を確認するために、従来の「通常枠」と類似した「売上高等減少要件」が課せられています。2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して、10%以上減少していること(あるいは合計付加価値額で15%以上減少していること)が要件です。それと、2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いることという「最低賃金要件」を充足することも必要です。
今回取り上げた「成長枠」「産業構造転換枠」「最低賃金枠」それぞれの補助金額と補助率は表の通りです。今回は割愛しましたが、「成長枠」「グリーン成長枠」には、さらに「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」という「上乗せ枠」が存在します。また、「成長枠」には大規模な賃上げを行って補助率引き上げを受ける「補助率引上要件」というのもありますが、ここでは割愛します。とりあえず最低限のポイントを「ちゃちゃっと」まとめてみました。(石川サトシ)
※事業再構築補助金サイト
※ご相談はDune Consultingまで。
ちゃちゃっと、と言いながら、結局は文字数が多くなる。まあ、これ以上省略したら、もはや読む意味なさそうだけどな。
あまり深く考えずに書き始めたけど、物事を簡潔に説明するって難しいな。まだまだ修行が足りん(泣)