" /> 事業復活支援金における「事業判断」の考え方とは?

#1 自助努力か?忍の一字か?~「事業判断」~

「事業復活支援金」は、コロナの影響を受けて売上が減少した事業者が対象。でも、コロナと売上減少の因果関係を検証するのは難しい。「どれがコロナの影響か」という定義より「どれがコロナの影響じゃないか(これ以外はコロナの影響を受けているとみなす)」という定義にならざるを得ない。(以下は100%単なる個人的な意見・感想であり、同支援金の支給対象についての公式見解等ではありません。)

sakura

4月に入り、「事業復活支援金」の申請期間も残り2ケ月弱となりましたね。
「事業復活支援金」は、単に売上が半減したから給付が受けられるわけではなくて、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者」でなければ対象になりません。

「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた」かどうかを検証する上でのキーワードの一つとして、説明文の中で使われているのが「『自らの事業判断』によらず」というフレーズです。「『自らの事業判断』とは、例えば、要請等に基づかない自主的な休業や営業時間の短縮、商材の変更等が挙げられます。」と説明されています。

closed

例えば、どうせコロナでお客さんが来そうにないので、国や地方自治体から要請を受けたわけじゃないけど、お店を休業しちゃいました。これで売上が半減しても、支給対象にはなりませんよ、ということです。ま、そりゃそうですよね。お店を開けてたら、ひょっとして売上が前年並みにあったかもしれないんだから。
確かに、コロナのせいで客足は減少しているかもしれませんが、このパターンで給付が受けられるなら、みんな休業しちゃうでしょう。

となると、収拾がつかなくなるので給付対象になりません。これは意味がわかりますね。給付対象になるために、自発的に店を閉めて恣意的に売上高をコントロールして減少させたという疑念さえ浮かんでくるよということでしょう。
「自らの事業判断」で意図的に売上高を減らして条件に合わせて来ても給付しませんよ。ハイ、これはわかります。
しかし、「商材の変更」もダメ。これはどう?
例えば、こだわりの高級品Aを扱う店が、コロナ禍での景気停滞による販売不振に悩んで、普及版の廉価品Bをメインに変えて商売を展開。

decreased sales

その結果として、販売数量としては前年並みを確保したが、単価が安いので売上高は前年比で半減した。この場合、売上減少は「自らの事業判断」による「商材の変更」に起因するので対象にはならない、ってことになるの?そんな余計なことせずに従来の製品だけを扱っていたら売れなくても支給が受けられたのにね、ってなるの?この経営者の「事業判断」は余計なことだったの?

itakuzaiko

「売上計上基準の変更」もダメ。わかりますよ。本来は今月の売上になるものを何ケ月か先の売上に延ばして実績を調整することで給付対象になろうとするのはダメですよってこと。
でも、資金繰りが苦しくて倉庫代に困った卸売業のヒトが小売店へ商品を委託出荷して委託販売に切り替えましたって場合でもダメなの?
この創意工夫は許されないことなの?

riskor

「『自らの事業判断』によらず」売上が減少した場合は支援金を支給します。でも、「『自らの事業判断』によって」売上が減少した場合は支給しません。僕は常々思うのですが、こう言われてしまうと、中小法人・個人事業者は「ヘタに動くな、じっとしとけ」ってことになります。あれこれと知恵を絞った自助努力が実を結ばず、結果的に売上が減少したヒトには何もない。苦しくてもジタバタせずにじっと黙って耐えていたヒトには支援金が支給される。

alone

ここまで何度も書いたように、制度設計としてこうならざるを得ないのは理解できるんです。
中小の経営者・事業者の判断一つ一つについて、国がバックアップしてあげてたらキリがないですからね。

でも、やっぱり釈然としないものも残る。これが、誰も救うことができない「経営者の孤独」というものなのでしょうか。(荒生潤)

恵介
恵介

出たな、屁理屈大王!

潤

屁は理屈を言わないと思います。

石川
石川

難しい問題だよな~。実際にこういう事情の事業者さんには遭遇していないけど、ありそうと言えばありそう。事情がわかる資料とかを集めて、とりあえず何とか申請してみて、事務局側の判断に委ねるくらいしかないのかなぁ。困るよなぁ。

マオ
マオ

当年と前年とか前前年とで売上高を比較するという手法だから、前提条件が一緒じゃないと比較できないよって話。でも、前提条件が変わったのは、何とか業績を改善しようと試行錯誤した結果なのに・・・となると哀しいよね。

正臣
正臣

良い事業判断をすれば売上を維持拡大できたはず。悪い事業判断だったから売上が減少した。悪い事業判断による悪い結果は救済しない。そうかもしれない。でも、売上の維持拡大に結びつかなかった事業判断はすべて悪い事業判断だったというのは結果論、後出しジャンケン的な評価で妥当ではない気がする。じゃあ、どうやって事業判断の善し悪しを評価するかということになると基準が難しくなるから、結局、すべて対象外とせざるを得ない。そういうことでしょうか?

かよ
かよ

売上が下がった場合の原因は単にコロナの影響だけじゃなくて、実際はコロナ+競合他社の台頭+自社の政策ミス?+・・・・とか複合的な要因の組み合わせなんじゃないかな?でも、じゃあそのうちコロナの影響はどれくらいで、自社の政策ミス?の影響はどれくらいで・・・みたいな切り分けは無理でしょ?となれば、「恣意的要因(=自社の政策ミス?)」が一つでも含まれる限り、全体として対象外、とするしかないんじゃないの?