" /> 第10回事業再構築補助金のポイントを簡潔にまとめて解説

#3 「事業再構築補助金」第10回公募をちゃちゃっと理解したい (1)再構築の類型とその要件①

3月30日に公募要領が公開された「令和4年度第二次補正予算 事業再構築補助金(第10回)」(以下 、便宜上「事業再構築補助金」と称します)。いろいろと変更点が取り沙汰されておりますが、「何が変わったの?」「ウチは応募できるの?」というような素朴な疑問にお答えできるよう、事業再構築補助金の概要をちゃちゃっとまとめてみましょう。(内容の一部に筆者の独自見解を含みます。)

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補助金についてのご質問・ご相談は多いので、しっかりと公募要領を頭に入れておかないといけないんですが、正直、ややこしい。「類型」「要件」「枠」「定義」「対象」・・・いろんな用語が出てくるので、混乱しますよね。まず、どういうことを指して「事業再構築」と呼ぶのかということが5つの類型で示されています。(※画像はウェブサイトより)

この5つのどれかに当てはまれば「事業再構築」です。 第9回までの公募と第10回以降の公募において、どちらも5つの類型が提示されていますが、ご覧の通り、内容は変わっています。「新分野展開」と「業態転換」が統合されるような形で「新市場進出」になり、「国内回帰」が追加されました。5つの類型のうち、申請対象になれる可能性が低そうな「事業再編」「国内回帰」については、以後の説明から割愛します。(※画像は「事業再構築指針の手引き」より筆者が合成。)

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主要の3類型に該当するかどうかは「製品の新規性」「市場の新規性」「新事業売上高10%等」または「売上高構成比」の3つの要件で決まることがわかります。このうち、「新事業売上高10%等」または「売上高構成比」というのは「量的要件」に過ぎないので、要件として特に重要なのは「製品の新規性」「市場の新規性」の2つということになります。

「製品の新規性」は、①過去に製造等した実績がないこと、②定量的に性能又は効能が異なること(計測できる場合)です。「新規性」は自身にとっての新規性であり、世の中における新規性ではありません。「過去」は、具体的には2020年3月以前を指し、2020年4月以降に新たに取り組んだ事業は新規性を有するとされています。そして、定量的に性能又は効能が異なることを提示しなければいけないのは、計測できる場合に限るので、計測できない場合は「計測できない」旨を提示すれば良いと解されます。

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「市場の新規性」における「新たな市場」とは、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、性別・年齢、所得、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場とされています。そして、既存事業での対象顧客を明確にした上で、新規事業の対象顧客層が明確に異なることについて説明することを求めています。ここでポイントになるのは、既存顧客と新規顧客の区分を定義することが申請者側に任されているということです。

例えば、「事業再構築指針の手引き(3.0版)」では、市場の新規性を満たさない場合の例として、「アイスクリームを提供していた事業者が新たにかき氷を販売」が挙げられています。これを表面的にとらえると、「アイスとかき氷って似たようなもんだからダメ。」となってしまいますが、そういうことじゃないんです。ここでは、「同じ店舗内でアイスとかき氷を併売しても従来の顧客がどちらかを選択するだけで売上は増えない」ことが重要なのです。これまでにない顧客層を開拓し、そこに向かって販売しなければ売上高は増えませんので。

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ですから、例えば、「かき氷は繊細な食感を味わってもらうために、外食志向の顧客に店舗でのみ提供する」「アイス内食志向の顧客にカップ入りのものをテイクアウト専用で販売し、自宅で楽しんでもらう」というふうに、提供方法を区別して申請者が自ら顧客層の違いを定義すれば、類似商品でも認めてもらえる可能性はあります(個人的見解ですが)。残る要件である「新事業売上高10%等」「売上高構成比」は、次のコラムで詳しく取り上げましょう。(石川サトシ)