" /> 中小企業診断士石川聡が期待する松村真宏教授「仕掛学」が持つ可能性

#4 「仕掛学」とはなにか?(その1)

去る2026年2月15日、大阪大学豊中キャンパスのDAICEL STUDIOにて、「第16回仕掛学研究会」が開催されました。仕掛学とはなにか?その魅力や可能性についてお話しします。

 「国立大学のキャンパスで開催された研究会」というと堅いイメージに感じられますが、この会の場合は研究報告=事例(実験)レポートなので、たぶん学術的な視点はニガテという方にも楽しめる内容だと思います。

関西のみならず、東北や九州からも参加者があり、発表者も大学生・院生以外に、中高生、社会人もいます。とにかく、内容が盛りだくさんで時間内に発表を収めるのが精いっぱいという感じなので、質問したいことをたくさん抱えて研究会後の懇親会になだれ込む感じも非常に楽しいです。私は、当研究会の主査をされている松村真宏(まつむらなおひろ)教授に、大阪大学大学院の経済学研究科で直接ご指導を頂いた縁でこの研究会に参加しています。

このイラストは、仕掛学でアイコン的によく使われている「バスケットゴールのついたゴミ箱」です。これが何を目的としているかは、直観的に理解できると思います。

ゴミ箱があるのに、そこへゴミを捨てずにそこらへんにポイ。あるいは、ゴミ箱の周囲に乱雑にゴミが散らかっている。こんな状況を改善するためにどうしたらよいかを考えると、「『ゴミはゴミ箱に!』『ポイ捨て禁止!』という張り紙をする」とか「監視員を配置してポイ捨てを許さない」とかいうのが一般的な解決策かと思われますが、張り紙くらいで解決できるなら苦労しませんし、監視員を四六時中配置するとなれば、その経費をどう賄うかという別問題が発生します。そこで、考えられたのがこの「仕掛け」です。ヒトは、バスケットのゴールを見たら思わずシュートしてみたくなる。結果として、ゴミ箱にゴミが集まる。「なるほど!」ですよねぇ。

同じような発想で、紳士の皆さまにおなじみなのが、男性用トイレの小便器の「的」です。「的」以外にも、「蠅」とか「炎」というバリエーションがあるそうです。これも、そこに的があるからついつい狙ってしまう。結果としてOB(場外への一撃)が減って、トイレの清潔性が保たれるというわけです。ゴミ箱ユーザーも、トイレユーザーも環境美化を意識して行動しているわけではありませんが、「結果として」設置者が感じていた問題の解決に協力してくれるわけです。ざっくり言うと、これが「仕掛け」であり、これを研究するのが「仕掛学」なのです。警告するとか監視するよりもホンワカとしていてユーモアあふれる解決法ですよね。

ビジネスが絡む例でいうなら、みんな大好きな「くら寿司」さんの「ビッくらポン!」ですね。

お客さんは、「ひょっとしたらカプセルトイが当たるかも?」とワクワクしながらスロットに食べ終わった皿を投入。すると5皿投入毎にモニター画面でアニメによる抽選が実施され、当たるとカウンターの上からカプセルトイが出てくるアレです。お客さんはお店のためにお皿を片付けてあげようと思っているわけではないですが、「結果として」お皿が片付いちゃうし、お皿の数もカウントされちゃう。お会計の前に従業員さんが確認には来るものの、お客さんが「面白がって」お皿を投入する行為が、従業員さんのお仕事を応援することになっています。今更ですが、素晴らしい!(石川サトシ)

           ▶その2へ続く